労働問題

労働問題について

当事務所はこれまで,労働者側,雇用者側の双方において,多数の労働問題に取り組んできました。

一例として,労働問題のご相談内容として,

  • 解雇,雇止め
  • 未払いの賃金・残業代・退職金の請求
  • 労働条件の変更
  • セクハラ,パワハラ
  • 退職勧奨

労働者の立場から

現在,労働法は労働者保護の傾向が強いと言われております。当事務所では上記ご相談内容を依頼者の方に有利に問題解決するため尽力いたします。


使用者の立場から

気づかぬうちに労働問題に関する重大なリスクを抱えていることがあります。例えば,解雇無効を争われ解雇以降の未払賃金を請求されたり,高額の残業代を請求されたり,長時間労働を放置し過労死によって損害賠償を請求されるなどということがあります。
適切な対処方法を採っておくことでこのようなリスクを回避できます。

従業員,使用者いずれの側からのご相談にも応じておりますので,お気軽にご相談ください。

よくある労働問題についての質問

残業の命令がないときに残業した場合や、残業の要件である36協定がない場合は、残業代はもらえないのでしょうか。

残業の指示命令がないとしても、業務上の必要性に基づき残業をした場合、その労働者に対し残業代を支払わなくてはなりません。また、使用者が、労働者が残業をしていることを知っていたか否かに関係はありません。さらに、使用者が残業をしないように言っていたとしても、業務上の必要から残業をした場合は残業代の支払は必要となります。
36協定は使用者が労働者に残業を命じる根拠となるものであり、これがないからと言って労働者は残業代がもらえないということはありません。

懲戒解雇処分を従業員に出したのですが、その者が会社に対し不服を申し立ててきております。懲戒処分が無効になる場合はありますか。

懲戒処分が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、懲戒処分は権利の濫用として無効とされます。社会通念上相当と言えるか否かは、懲戒処分の対象となった従業員の行為と懲戒処分の均衡がとれているか(過去の懲戒処分との比較や法令判例等における判断等を考慮する)、適正手続を経た相当な手続といえるか、といった観点から判断されます。
具体的には弁護士までお気軽にご相談ください。 

従業員を解雇したいのですが,どのような場合に解雇することができますか。

解雇には,①普通解雇,②整理解雇,③懲戒解雇の三種類があります。

(1)普通解雇は,無断欠勤や能力不足等の何らかの労働者側の問題を理由に行う解雇です。この場合,解雇が正当と認められるには,1)客観的合理的理由と2)社会的相当性の2つの要件を満たす必要があります(解雇権濫用法理,労働契約法第16条)。

(2)整理解雇は,企業が経営不振などの経営上の理由により人員削減の手段として行う解雇です。整理解雇が有効とされるためには,1)人員削減の必要性,2)解雇回避のための努力,3)人選の合理性,4)手続の妥当性の4つの要件を満たす必要があります。

(3)懲戒解雇は,企業が労働者の企業秩序違反行為に対して課す懲戒処分の中で一番重い処分です。例えば,労働者が企業の金品を横領した場合に課されます。懲戒解雇が有効とされるためには,労働者の行為の性質,態様などの事情に照らして,客観的に合理的な理由を備え,社会通念上相当であると認められる必要があります(労働契約法第15条)。また,解雇権濫用法理(労働契約法第16条)の適用もあるとされています。

詳しくは,弁護士までお尋ねください。

労働審判制度について教えてください。

労働審判制度は,企業と個々の労働者間の民事に関する紛争を対象としています(解雇無効,賃金請求,残業代請求等)。地方裁判所において,裁判官1名(労働審判官)と労働関係の専門的な知識を有する民間人2名(労働者側・使用者側それぞれから1名ずつ,労働審判員)の合計3名によって構成される労働審判委員会が紛争処理を行いますので,専門性が担保されています。

また,原則として3回以内の期日において,審理を終結しなければならないので,紛争の迅速かつ集中的な解決を図ることができます。

そして,審判の前に調停案が示されますので,訴訟のように勝訴か敗訴かでなく,事案の実情に即した柔軟な解決を図ることができます。

会社の従業員が他の従業員に対しセクハラをした事実が判明しました。使用者側の責任が生じることはあるのでしょうか。

使用者は、セクハラが発生した場合、それを防止できなかったことに基づき、不法行為責任(709条)や使用者責任(710条)、職場環境配慮義務違反等の労働契約上の契約責任等に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。
男女雇用機会均等法にて事業主に対しセクハラ防止に関する雇用管理上の必要な措置を講ずる法的義務が課されています。厚生労働大臣がその実施を図るための指針を定め、この指針に満たない措置しか会社が取っていない場合に会社の責任が認められる可能性があります。

労災保険制度について教えてください。

傷病や死亡が「業務災害」または「通勤災害」に該当する場合,労災保険の給付を受けることができます。

「業務災害」に該当するかどうかは,(1)「業務」と言えるか(業務遂行性),(2)業務「上の」災害といえるか(業務起因性)の2点から判断されます。精神病や心臓疾患等の場合,個人の気質等も発病に寄与することがあるため,業務災害に該当するか否かの判断が難しくなることが多いです。

「通勤災害」とは「労働者の通勤による負傷,疾病,障害又は死亡」を言います。そして,「通勤」とは,(1)住居と就業の場所との間の往復,(2)就業の場所から他の就業の場所への移動,(3)(1)の往復に先行または後続する住居間の移動を,合理的な経路及び方法により行うことを指します。

「業務災害」又は「通勤災害」の認定を受けるには,難しい問題がありますので,労災申請に会社の協力が得られない場合や,労災申請をしたが不支給の決定がでてしまった場合などには,弁護士にご相談ください。