遺産相続問題について
これまで何のトラブルもなかった親族間であっても相続問題は発生しています。また,身内であるにもかかわらず,その関係性に代々にわたって大きな亀裂を入れるほど,相続問題は個人間で解決することが難しいこともございます。
相続税が発生しない場合でも争いになっているケースは多いです。誰にでも起こる可能性がある問題といえます。
後に残る者たちがそのような問題に巻き込まれないようにするため,遺言書作成などで事前にトラブル回避の方策を検討することは有効な手段と言えます。弁護士として事前に問題を回避するお手伝いをいたします。
また,遺族間ですでに対立的な利害感情が生じている場合,弁護士として,相続人間の感情的・経済的な利害関係を把握しつつ事実分析を行い,法的判断に基づいて最適な解決を実現させていく必要があります。そのために,遺産分割協議,調停などの手続きを利用していくこととなります。
依頼者の方々にとって納得がいき,後々の親族間の関係性に大きな亀裂を残さないため,最適な解決方法を見つけ,それを実現していくことが重要と考えております。
まずは,お気軽にお電話やメール等で事務所までご連絡ください。「ホームページを見た」とお伝えいただければ初回相談は無料です。ご都合の良い相談日時を決めさせていただきます。費用等でご不明な点がございましたら,ご相談の際に弁護士にお気軽にお尋ねください。
よくある相続についての質問
- 遺言を書くとき,自筆でもできるそうですが,あえて公正証書にするメリットは何ですか。
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全ての文章・氏名・日付を自筆し,押印すれば,自筆証書遺言として認められます。例外的に,財産目録についてはパソコンなどで作成することが認められています。簡単に作成できますが,本当に遺言者の筆跡か,遺言者本人が押印したのか,遺言作成当時,遺言者に遺言能力があったのか等,争いになりやすく,また,公正証書に比べて偽造・改ざんされやすいため,相続の際に紛争が生じることが予想される場合は,特にお勧めできません。また,紛失の危険性もありますし,方式不備により無効となる場合や,文意不明により遺言の効力をめぐる紛争が生じることも多いです。そして,自筆証書遺言を相続で利用する際,家庭裁判所での検認手続を経なければ,預貯金の解約や不動産の移転登記手続等に利用できません。
2020年7月10日から,自筆証書遺言の法務局での保管制度が始まりました。この保管制度を利用すれば,紛失・改ざんの危険性はなくなります。家庭裁判所における検認手続も省略できます。しかし,内容の審査はされませんので,文意不明などにより遺言の効力をめぐる紛争が生じる危険性は残ります。
他方,公正証書遺言は,私文書(自筆証書遺言)よりも証明力が高く,その文書が作成名義人(遺言者)の意思に基づいて作成されたことについて強い推定が働きますので,紛争の予防になります。また,公証人役場で保管されていますので,紛失の可能性はありません。そして,家庭裁判所における検認手続を省略できます。
遺言を公正証書にするメリットは,紛争の予防と検認手続の省略にあります。
- 自分の実の子供にいじめられています。私の築きあげた財産をこの子に相続させたくありません。この子に相続させない内容の遺言書を作っておけばよろしいでしょうか。
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あなたの子供には遺留分というものがあります。残された家族の生活困窮を防ぐ為に、一定の範囲の相続人(配偶者、子とその代襲者、直系尊属)に限り民法が認めたものです。遺言書を作成しても、あなたの子供は遺留分を侵害された限度で財産等を求めることができます(遺留分侵害額請求)。この遺留分も子供に与えたくないという場合には、生前に廃除請求を家庭裁判所に申し立てることができます。または遺言書で廃除したい旨意思表示をしておくこともできます。具体的な手続等は弁護士にお尋ねください。
- 遺言が2通出てきました。どちらの遺言が有効なのでしょうか。
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遺言者は,いつでも自由に,遺言の全部または一部を撤回することができます。遺言者の最終意思を尊重するためです。ただし,撤回するためには,新しい遺言で前の遺言を撤回する意思表示をするか,遺言者自身が遺言の内容と抵触する法律行為(例えば,遺言者がAにある不動産を遺贈する遺言を作成した後,Bにその不動産を生前贈与した場合,Aへのその不動産を遺贈する遺言は撤回されたものみなされます。)をする必要があります。
遺言が2通出てきた場合,基本的に,作成日付の新しい遺言が有効と考えればよく,古い遺言については,新しい遺言の中に古い遺言を撤回する意思表示があるか,その内容が新しい遺言と矛盾・抵触する部分があるか,両立する部分があるかを検討する必要があります。
したがって,新しい遺言のみ有効の場合,新しい遺言が有効で古い遺言も一部有効の場合,両方有効の場合がありますので,詳しくは弁護士にお尋ねください。
- 相続とは、被相続人の権利も義務もひとまとめにして受け継ぐものであることは理解しております。私の場合、被相続人に財産がある一方、負債がどの程度あるか不明なため、相続放棄をしたほうがよいのでしょうか。
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プラスの財産よりも負債の方が明らかに多い場合、相続放棄をするのが一般的です( 但し、相続放棄をすると初めから相続人でなかったことになるので、次順位の相続人も 相続放棄手続をしなければならなくなるといったことが起こり得ます。)。
ご質問の場合、プラスの財産と負債のどちらが多いか不明なため、限定承認という手続 をとることが考えられます。限定承認は、プラスの相続財産の範囲内でのみ債務を弁済す ることを条件に、相続を承認するものです。
但し、限定承認は相続人全員が共同で行わなければなりません。一人でも反対者がいる とできません(相続放棄をした人ははじめから相続していなかったことになるので、その 人は除きます。)。その他の具体的な手続については弁護士等にお問い合わせください。
- 相続を放棄すると生命保険金は受け取れないのでしょうか。
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特定の相続人を受取人とする契約の場合、保険金を受け取る権利はその相続人の固有の権利であり、相続財産には含まれません。そのため、相続を放棄しても保険金は受け取れます。
但し、受取人を特定せずに「法定相続人」とした場合は、相続放棄をした人ははじめか ら相続人でなかったことになるので受け取れません。また、被相続人自身を受取人とする死亡保険金は相続財産になりますので、この場合も相続を放棄した人は承継することができません。
- 私は,長年,親と同居して親を介護してきました。寄与分として考慮されますか。
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介護行為は,療養看護にあたります。療養看護として寄与が認められる要件は,①「特別の」寄与であること,②相続財産の維持・増加が必要です。
特別の寄与かどうかは,あなたがどのような介護を行ったかだけでなく,被相続人の病状や必要な介護の内容についても,重要な要素になります。
介護保険における「要介護度2」以上の状態であれば,介護の必要性が認められやすいとされています。ただし,介護サービスとの関係で,軽減された負担をどう考えるか難しい問題もあります。
また,相続財産の維持・増加についても,介護により,支払うべき看護費用の出費を免れたと言える必要があります。
なお,義理の親の介護をしていたなど,あなたが相続人ではない場合であっても,法律の改正により,2019年7月1日から特別寄与料の請求ができるようになりました。
いずれの要件についても,個別具体的な事情を詳しく聞く必要がありますので,詳しくは弁護士へお尋ねください